ピロリ菌(ヘリコバクターピロリ)のよくあるご質問
Q
ヘリコバクターピロリ菌(以下HP)にはどの様にして感染するのですか?
A
残念ながら明らかな感染経路はわかっておりません。一説には井戸水などの消毒されていない水や不衛生な生の食品、食べ物の口移しなどが感染経路の一つとして考えられています。また、喫煙者の除菌治療の成功率が低い事などから喫煙習慣も原因の一つとして考えられます。
Q
HPに感染するとどの様な症状が出るのですか?
A
HP感染時に急性胃粘膜病変(AGML)と言う急性胃炎を認める方もいます。その後HPに感染した方の多くは慢性胃炎になります。慢性胃炎状態で胃痛・胃もたれ・胸焼けなどの症状を認める方と症状を全く認めない方がいます。
Q
HPに感染しているかはどの様に調べるのですか?
A
HPの検査は大きく分けて3通りあります。
1. 胃カメラ
2. 採血
3. 尿素呼気試験
現在、すでに胃痛・胃もたれ・胸焼けなどの症状を認める方や黒っぽい便を認めている方は1の胃カメラをお勧めします。そうでない方は2+3ないし3の検査でHPの有無を確認できます。1、3に付きましては予約検査となっておりますので、詳しい検査方法はお問い合わせください。
Q
HPに感染していたらどの様な治療を行うのですか?
A
HPは細菌ですので抗生物質で除菌します。PPIと言う潰瘍治療薬とアモキシリン、クラリスロマイシンと言う2種類の抗生物質を用いたLAC療法が一般的に行われます。感染していたからと言って全員が除菌治療を行うわけではありません。原則的には、以下のような方を対象に除菌治療を行っていきます。
● 胃・十二指腸潰瘍のある方、既往に潰瘍を指摘された事のある方。
● 潰瘍は認めないが、胃炎があり、症状の強い方。
● 胃の病気で手術をされた方で、現在胃の残っている方。
● 一部のリンパ系腫瘍の方。
Q
除菌治療の費用は?
A
2013年から除菌治療が健康保険の適応になったため、保険診療の範囲内で治療を行えます。
Q
除菌治療には副作用はないのですか?
A
除菌治療は上記のように抗生物質を使用しますのでアレルギーのある方は治療できません。アレルギーのない方でも2種類の抗生物質を用いますので菌交代現象と言って腸の中の善玉菌も影響を受けてしまい下痢症状を認める方がいます。下痢症状の強い方の中には出血性大腸炎と言って血便を認める方もいます。また、最近は除菌後に逆流性食道炎(胸焼け)を起こし易いとの報告もあります。
Q
他の治療法や最近の話題は?
A
抗生物質を用いた除菌治療が現時点では根本的な治療です。最近ではHPを減少させると言われているマスティクガムがデパートなどの健康食品売り場で販売されていますし、明治乳業からLG21と言う菌株を含んだヨーグルト(商品名:プロビオヨーグルトLG21)も販売されています。またブロッコリーがHPに効果的との報告もあり話題は尽きないようです。
Q
日常生活での注意事項はありますか?
A
40歳以上の日本人の7割~8割の方はHPに感染しているとの報告があります。陽性だからと言って必ずしも除菌が必要なわけではありません。アルコール多飲者や喫煙者の除菌成功率が低いと言う報告もあります。HPは荒れた胃粘膜に好んで棲息しますのでストレスや喫煙、過剰の飲酒などHPの除菌以外にも生活習慣の改善も併せて必要な場合が多く、幅広いアドバイスを当院で行っておりますのでお気軽にご相談ください。